たぶん、もう読まない【感想】僕と先輩のマジカル・ライフ
はやみねかおる氏による、いわゆる”日常の謎”がテーマの作品。「青春ミステリーの謳い文句」と「恩田陸氏による解説」だということで、変な先入観を持って買ってしまった一冊。過度の期待は、裏切られた時のショックが半端じゃない。角川文庫の平成18年12月25日初版発行。
あらすじ
シャツは第一ボタンまでしっかり締め、9時就寝で6時起床。
お酒は二十歳になってから、休講なら図書館で自習せよ。
そんな糞真面目主人公・井上君が大学進学を機に一人暮らしを始める。
親の世話になりたくないと仕送りを断り、ボロアパートで極貧生活を送る井上君。
下宿先のアパートの住人はお約束通り、変人奇人怪人…
そんな中でも長曽我部先輩は、特別異彩を放つ変わり者だった。
断り切れずに先輩の所属する「あやかし部」へと入部した井上君は、流されるまま、常の謎の解決へと駆り出されることとなる。
幽霊の出るアパート、
地縛霊が引き起こす交通事故、
河童の出るプール、
桜の木の下の死体、 次々と起こる謎に、幼馴染の霊能者・川村春奈と共に挑む。
私的評価
39点。
追試が必要な点数だが、再試を実施するかは未定。極端に言ってしまえば、自分には合わないし、面白くない。
感想
普段は児童向けの推理小説を書かれている作家さんとのことで致し方ないのかもしれないが、全てが表面的過ぎて大失敗作という印象。
大学生が主人公なら「青春」なのか?
自分は、もっと精神的なものだと思っていました。
正直、がっかり。
はやみね氏の児童向け作品を全く読んでいないので、この作品のみであれこれ言い過ぎるのは間違っているのでしょうが、恩田氏が何故そこまで褒めることが出来たのか、自分には全く理解出来ない。
名プレーヤーが名監督になるとは限らないのと同じで、良い作家が良い書評をするとは限らないということか。
それとも、商業的な理由なのか。
すっきりしない各章の結末といい、テンポの緩さといい、逐一自分の好みではない。
そもそも、完全な霊能者を出していいのか。
確かに「榎木津さんが大活躍!」みたいなシリーズもあって、そっちの方は大好きですけど…
「能力の限界」をきちんと明示しておかないと反則でしょ。
10年以上前の作品とはいえ、今どき少年漫画でもここまでご都合主義じゃない。
単なる予定調和な結末に向けた「文字列」を、青春的な雰囲気で誤魔化して「作品」と呼ぼうとしているように受け取ってしまう。
どんな経過であろうと、事件が解決すればいい。
そんなミステリーが読みたいならオススメの作品です。 自分は過程も楽しみたいので、そういう方とは趣味が合わないでしょう。