発表当時に読んでいたら感想は変わっていたのだろうか…【感想】四つの嘘
大石静著、幻冬舎文庫の平成20年7月31日5版発行。なぜ手にとったか記憶にない一冊。恐らく、数軒の古本屋を回った祭、どの古本屋でもやたらと目があった作品だったのでしょう。
概要
人の男を寝取ることが生きがいで、淫乱に生きる詩文。
恵まれた美貌を持ちながらも、平々凡々な生活しか出来ない満希子。
男に興味を持たず、仕事に没頭するしかないネリ。
詩文に寝取られたかつての愛の影を追い求めて生きる美波。
それぞれが生活を持ち、全く別の人生を歩んできた高校の同級生4人。
美波がニューヨークでフェリー事故に会い、死んでしまったことから運命の歯車が動き始める。
過去の因縁や女の性が、各々の子供や男を巻き込んで歯車を加速させる。
そして暴かれていく4人の嘘。 虚実に生きた4人が、事実を突き付けられて辿りついたその結末とは…
私的評価
58点
分量の割に読み応えのない作品。新しく自分好みの作家・作品を発掘するのは難しい。
感想
もっとミステリー要素の強い作品であることを期待していた分、拍子抜け。
女性が書いた女性の話というのは、男には馴染みにくいのか。
確かに”女は怖い”や”女性ならではのドロドロ感”は感じるものの、それだけ。
語られる嘘に刺激がない。
ラストにどんでん返しが用意されているものの、逆にどんでん返しではない方が意表を突かれたであろうほど、驚きがない。
どれもストレートな表現で、所作や発言から人物の心象を表現するような描写が少ないので、物語への没入感が弱い。
キャラの印象付けは上手かったと思うものの、それだけでは面白い物語にはならない。
調べてみると、大石氏は脚本家とのこと。
何か納得がいったような気がする。